院長のひとりごと ~エネルギーと元気~

エネルギーと元気

ここ半年くらい、ずっと「動物の進化の過程と人の発達成長」の視点で体の研究をしてきました。研究なんていうと大げさですが、仮説を立てては関節の可動域やバランス感覚、眼球運動、脳波測定、原始反射など、身体反応をみて変化が生じるか?その変化は体が使いやすい方に向かっているのか?などを考察しています。

ざっくりいうと、赤ちゃんの段階では背骨だけで動く、「魚類」あるいは、もっと前のミミズや蓑虫のような「蠕虫」という状態なわけです。そこから首が据わってくると両生類に近づきます。さらに首と胴体が別々に動けるようになってお座りや、でんぐり返しのような動きをし始めます。これは四肢で自分の体重を支えるという大事なステップで爬虫類の段階になります。

そこからハイハイや咀嚼が出来るようになって哺乳類へと進化し、表情筋や目や手の動きが発達し、猿などの霊長類へ、さらに直立位に(かかとがしっかり着けられるように)なることで咽頭・喉頭が下がり、声帯が発声に適した状態になり、様々な言葉が出せるようになって、より高度なコミュニケーションと群れの形成によって、人へと進化していくのです。(発語が出ないお子さんは、まだ手前の段階を育てている最中ということで「発語が出ない=人になれない」ということではありませんので、誤解がないよに。)

そして、これは発達段階のお子さんに限らず、僕たち大人でも身体的トラブルが生じると、魚類、爬虫類、哺乳類、霊長類のどこかに戻らざるをえないような体の使い方になっていたり、呼吸や食生活、行動様式までその進化の過程に相当した状態になることがあるのです。

たとえば、蠕虫や原始生物には交感神経がないので戦うことができません。刺激に対しては「フリーズ」といってただひたすらに身を固めて守るという反応しかできないのです。これはコロナ禍のストレスで不安が大きくなり過ぎて、自宅から出られなくなったり、重度のうつになってしまった人にも、この「フリーズ状態」がみられることがあります。

また、自律神経の不調を抱える人の大半は呼吸が浅いわけですが、呼吸が浅い人にはほぼ、肩(上腕)の巻き込みがあります。この巻き込みの状態は爬虫類の状態なんです。爬虫類は横隔膜がほとんどなく、呼吸量も少ない上に、捕食は咀嚼をせず丸呑みです。

つまりエネルギーを獲るために食べているのに、その消化にエネルギーを要する状態です。また、手先から腕には肺の経絡が通っています。肩の巻き込みがあると、経絡の流れが阻害されるので、肺の機能低下も起こります。

こうして聞くと確かに呼吸も浅く、咀嚼も十分に出来ず、 食べると調子悪くて、仕事以外では動きたくない、あるいは家事もやっとのことで動いていたという体験をされている人は決して珍しくないでしょう。このように人の身体で起きている問題を、進化の過程に当てはめると大抵が、その段階の動物と似たような状態になっていることがわかります。

体の状態はエネルギーと相関関係が非常に強く「酸素と食」つまりエネルギー源の獲得がいかに重要であるかということを改めて感じるわけです。そのうえで大事なのが、獲得したエネルギーの「循環」です。目に見えてわかるエネルギーは酸素や栄養素ですが、そのエネルギーをしっかりと使うためには脳からの指令(神経を伝わる電気信号)と、体と脳を繋げる感覚(意識感覚・無意識感覚)が不可欠です。この感覚は「気」とか「意識」としてエネルギー循環を起こします。

こうした、「気」や「意識」というのも、人が活動する上で欠かせないエネルギーなのですが、その根源は酸素や食ではなく「欲求」です。動物の欲求は極めてシンプルで「生きたい」です。この欲求は全ての生物に共通のエネルギー源になりますが、人の場合さらに高次な欲求があります。

赤ちゃんは自分の感覚を育てる過程で、「もっと腕を伸ばしたい」「あのキラキラした物を口の中に入れてみたい」「自分も立って歩いてみたい」こうした欲求が遊びに繋がって発達していくのですが、同時にエネルギーとして筋肉や内臓の動かし方を身につけていきます。成長とともにその欲求は「自己実現」として「自分が生まれてきた意味」に向かいます。この大元にある「気」や「意識」こそが、酸素や栄養素よりも重要な、全てのエネルギーの土台になります。

こうした自分の欲求を忘れてしまうと「気」や「意識」は循環しなくなってしまうのです。僕がいつも「自分1ST(ファースト)を忘れないで下さいね」と言っているのは、これこそが健康な体に一番必要なエネルギーだからです!さらにエネルギーは活力や回復力、免疫力などの生命力に直結します。

元の気と書いて元気と言いますが、「元」とは「自分が自分らしく生きる」ということだと思います。そのための「気」「意識」が元気なのです。

これは心理セラピーやコーチングなどで、「自己実現」と向き合い、気づいていくと、エネルギーは増幅され、どんどん元気になっていくのですがその過程ではしんどいこともたくさんあります。そこでセラピーとは別に、お勧めしているのが、大気中のエネルギーの力を借りて自分の体に流すというアプローチです。やり方は簡単です。

目を閉じて、両手を空に向けてゆっくりと深呼吸をしていく。その時に頭の感覚、手のひらの感覚、空気の入り込む感覚などをよ~く感じとることです。大気、大地、自然との一体感を得られればハナマルです!感じられなくても効果は十分あります!(公園の芝生などで寝そべってやるとより感じられますよ!)

そうやって、いつの間にか鈍くなってしまった感覚を育て直すことが、エネルギー増幅と循環の第一歩であり、同時に自己実現への第一歩になります!セルフでも出来ますし、文字通り「気持ち」や「意識」の「イメージ」が大事です。ぜひ実践してみてください!

もし、うまく出来ない時はお気軽にご相談くださいね!

関連記事

  1. 常識は覆る?

  2. 核心をつくと

  3. ストレスに対する2つの反応

  4. もみ返しのレベルを超えたもみ返し

  5. 添い寝をやめる

  6. 勉強が身体を壊す?

  7. オリンピックスキージャンプ、膝の痛みを乗り越えて銅メダル!

  8. 講座・講演のご依頼



からだ支援 アシスト整体院

電話 04-2946-7543

住所 〒359-0044 所沢市松葉町10-15 明光ビル4F