目がグルグルまわったり、ふわふわと常に乗り物酔いのような状態になったりと、自律神経症状の中でもとても厄介なめまい。医療機関に行っても原因がわからないと言われることが多い「めまい」について、体の仕組みから理解していきましょう!
まずは医療機関を受診しましょう!
めまいの大原則として、突然めまいが起きた場合には、まず脳神経外科や耳鼻科など医療機関でしっかりと診てもらいましょう!
めまいの95%はストレスや自律神経のトラブルから起こっていますが、約5%は脳の疾患や心臓疾患など重大な病気が隠れていることがありますので、その5%に入っていないことを確認することが大事です!整体や鍼治療など代替医療を受けるのはすでに受診されて診断をつけられた方が対象になります。
めまいの種類
脳や心臓などのの疾患を除くと、めまいには3種類あります。
・回転性めまい 景色が一方向性に流れるように回る(グルグルする)
・動揺性めまい フワフワとしたりふらつく。落下感、視覚の傾き
・眼前暗黒感 目の前が暗くなる。気が遠くなる。失神前兆
こうしためまいに対してなぜ「ストレス」や「原因がわからない」といった説明しかされないのか?その理由は原因が複雑だからです。
例えば、骨折のようにポッキリ折れた箇所がレントゲンで明確にわかるようなトラブルなら説明が簡単なのですが、めまいはとても複雑なため本当に詳しく説明するとそれだけで1時間は必要になります。そのため、ストレスといった曖昧んば説明だけで終わってしまうのです。また、原因が複雑であるということは、ギックリ腰のように短期間で良くなってはくれず、様々なアプローチとそれに取り組む期間が必要になってきます。めまいを抱える人にとっては原因がよくわからないまま、なかなか良くならない状態が続くことで不安になってさらにストレスとなることもあります。この小冊子をお読みいただくことでめまいが起こる原因や体の仕組みを理解し、じっくり自分の体と向き合っていただければと思います。
めまいの原因
めまいの原因は大きな視点でいうと「脳のシステムエラー」です。
私たちの体はあらゆる情報が脳に入力され、脳内で統制して、再び体へフィードバックすることで当たり前の日常生活が送れています。つまり脳が正しく機能できないと、入力情報を受け取ることも、受け取った情報を統制することも、そして体へ指令を送ることも出来ないのです。こうした状態が大小様々に起こってあらゆる不調が生まれます。めまいも同じで、そのトラブルがどこに生じるかでグルグルと回ったり、フワフワとしたりするのです。
さらに細かな視点で原因を探ると以下のようになります。
生理学的原因
・前庭器官の問題
・視覚の問題
・固有受容器の問題
・自律神経の問題
・小脳の問題
・眼球運動の問題
心理学的原因
・解離
・分裂
・フリーズ
発生学・発達的原因
・胎児期の問題
・原始反射の問題
・運動発達の問題
これだけ多くの要因が関係しているのです。お薬だけで良くならない理由がお分かりいただけたと思います。実際に通院されている方には必要に応じて、心理的アプローチや発生学的なお話もさせていただいてますが、ここで心理的、発生学的原因までお伝えすると、それこそ1冊の本が作れてしまいますので、ここでは主に生理学的原因についてお話します。
まず最初に知っておいて欲しいのが「入力→処理→出力」という体のルールです。私たちの体は全身の筋骨格から内臓まで、あらゆる部位から刺激や情報が送られ(入力)その情報は脳で統合、統制され(処理)、必要な反応が起こります。(出力)めまいはこのルールのどこかで問題があるために起こっています。
体への入力で大事なのが、
・前庭からの情報
・目からの情報
・筋肉や関節など体からの情報
です。私たちの体は、主にこの3つの入力情報を、統合・処理して、体が正しく使えるように制御していますが、この3つが正確な情報を送ってこないとエラーが起こります。
そのエラーがめまいとして起こることが多いのです。
1:前庭器官の問題
前庭器官とは耳の奥にある、主に体の傾きなどを感知する所です。ここには重力方向を感知する前庭と、回転加速を感知する半規管と呼ばれるセンサーがあり、頭の傾きがどちらに傾いているのか?自分が今どれくらいのスピードで動いているのかを感知しています。
このセンサーが過敏に働く、あるいは鈍くなるなど、正しく働かないことで脳への入力がおかしくなります。例えば、左のセンサーは正常なのに、右のセンサーが過敏だとすると、「頭が右に傾いた」という情報が左センサーからの入力以上に右センサーからの入力が強く送られてしまうため、右では「すごく速いスピードで激しく傾いた」という正しくない情報として送られます。その情報と視覚からの情報を統制する必要があるため、前庭からの誤情報に合わせようと目の動きが応じた際にめまいが起こります。
こうした前庭の問題の多くは神経のトラブルですが、耳石と呼ばれる耳の奥にあるカルシウムの塊が剥がれ落ちることで、半規管内のリンパ液に流れが生じ、その刺激が頭が傾いという誤情報として送られることでも起こります。
2:視覚の問題
私たちが生きていく上で、目に見えているものによって認知、判断していることがとても多く、視覚はあらゆる感覚の中で一番多くの情報を取り入れています。視覚から入る情報には意識に上るものと、無意識に届くものがあります。例えば、目の前をボールが飛んでいったのを追いかけるときにはボールという対象物を追うという意識で後頭葉の視覚野で処理される情報と、周囲に対して自分の体がどんな位置にいて、どう移動しているか?という情報は別のルートを通って脳幹に届きます。ここでは耳からの情報と体の姿勢の情報が統合され、自分の体が今重力下でどのような状態にあるのかを認識し、倒れたりしないように自動的に補正していきます。目から入る情報は意識的なものだけではなく、無意識に届く情報がとても多いのです。こうした視覚情報の入力にトラブルがあってもめまいが起こります。
3:固有受容器の問題
固有受容器とは、関節や筋肉の中にある圧力や張力を感じ取るセンサーです。こうしたセンサーがあるから2本足で立ったり、歩いたり走ったりしても倒れずにいられるのです。この固有受容器からの情報も脳で統合され、細かなバランスを保っていますが、センサーが正しく機能しないことで体の各部の情報が正確に送られずに、姿勢やバランスを保つことができなくなってしまうのです。
4:眼球運動の問題
視覚の問題が「画像処理」だとすると、眼球は映像を入力するための「カメラ」のようなものです。このカメラはあらゆる方向にスムーズに動いて欲しいのですが、普段の目の使い方や、目が収まる窪みを形成する頭蓋骨の歪みなどから動きが悪くなることがあります。
また、人の目の使い方には意識的な使い方以外にも、顔や頭の向きが変わっても対象物を中心に収めて撮影するための反射的な働きなどがあります。これは前庭や小脳と連動して行われているのですが、こうした機能が低下することでもめまいが起こることがあります。
5:小脳の問題
小脳は運動の統合・姿勢制御・平衡機能・随意運動の調節を行っています。また熟練した動きの獲得も小脳が統制していて、例えばピアノの演奏は両手の指が別々の動きをしなければなりません。初めて弾くときには一本一本の指をどう動かすか?確認しながら弾いています。そのうち左手を右手を別々に動かしながら弾くようになっていくわけですが、難しいですところでは何度か同じように間違えたりもします。しかし、練習を続けていくうちに見なくても無意識にすらすらと演奏できるようになっていきますよね。こうした運動の学習や向上に関与しているのが小脳なのです。小脳の機能が低下すると、固有受容器や前庭、視覚からの情報に応じた無意識の体の使い方がコントロール効かなくなり、バランスを崩しやすくなったり、意図的な動きができなくなり、フワフワしたりフラフラしたりめまいにつながっていきます。特に眼球運動のなかで目の動きを「止める」という働きができなくなると眼球が流れていくように制御されずにめまいにつながることがあります。
6:自律神経の問題
自律神経の働きは脳のシステムエラーの影響をダイレクトに受けます。つまり「自律神経のトラブルがある=脳にシステムエラーが起きている」ということになります。
自律神経の働きが正しく行われないと、内臓の機能が低下します。内臓の感覚というのも体のバランスを保つのに重要な役目をしているため、体の支持機能の乱れを起こします。
また、脳に情報を送る神経の中には血管が通っていて、自律神経が乱れることでその血管が収縮を起こし、酸欠や栄養不良の状態を作ってしまい、それが前庭や固有受容器からの情報を送る神経で起これば入力が正しく行われずに脳の中でエラーが起こります。その結果、眼振や血管収縮調整の低下などめまいを引き起こすのです。
対策
前述した6つの問題はすべて5つのストレスによって起こります。
化学的ストレスには重金属やプラスチックなどの蓄積もあり、こうしたストレスがめまいに関係していることが珍しくありません。こうしたストレスの総和によって症状が起こっているので、今あなたがどのストレスの割合が高いのかをしっかりと分析し、減らせるところを減らしていく必要があります。例えば光の刺激は脳幹の視覚情報と前庭のバランス情報と、小脳の運動調節を統合する部位に届き、確実にその統合力を低下させます。もし1日に何時間もスマホを見ているのであれば、まずスマホの使用を最小限度に抑えなければ、どんな取り組みもバケツの底に穴が空いているのに一生懸命水を入れて満タンにしようとしているようなものになってしまいます。
めまいに限らずあらゆる症状は受け身の考えではなく施術者と二人三脚で進んでいかなければなりません。何度も言いますが、めまいは脳のシステムエラーによって起こっています。つまり入力→処理→出力の一連の流れの中でセンサーや神経が5つのストレスによって正しく働かないことで起こってきます。こうしたセンサーや神経を正常にするためには酸素・栄養・刺激が必要になってきます。
カラダ支援アシスト整体院のアプローチ
当院では主に構造的ストレスへのアプローチを行います。
前庭や眼球運動は頭蓋骨の形や動きが正しくあるかどうかがとても重要になって来ます。特に頭の傾きや回転加速を感知する半規管や前庭がある側頭骨が歪んでいると、左右の半規管でそもそもニュートラルの傾きに差が生じてきますので、側頭骨の調整は必須になってきます。、また、全身の関節に歪みが生じれば筋肉や関節にある固有受容器のセンサーが正しく機能しなくなることがあります。こうした骨格的なアプローチは効く効かないではなく、入力→処理→出力を正しく行うために最低限整えておかなければならないことなのです。