~前回からの続き~
スポーツドクターの辻秀一先生によると、このゾーンという状態は脳内で「βエンドルフィン」という脳内ホルモンが放出された時に起こるのだそうです。まず大舞台などで過度に緊張した時にアドレナリンが分泌され、人は戦闘モードに入ります。ここからさらに興奮が高まってくると、それを鎮めるために脳内でβエンドルフィンという覚醒物質が分泌される…というメカニズムのようです。このβエンドルフィンが分泌されると身体的にリミッターが外れたようにいつも以上の力を出せるようになる…というわけです。
ゾーンに入るのは誰でも簡単に…ということはなく、やはりそれなりに訓練や準備が必要なようです。辻先生曰く、「ゾーン」の前に「フロー」という心理状態があり、そのフローを経由しないとゾーンには中々、たどり着けないのだそうです。そしてこのフローというのも集中力が高まった「流れに乗っている」ような状態で、ここを維持した先に更に究極の集中力を発揮するゾーンがある…という解釈が近いでしょうか。
このフローはいわゆる「脳内セロトニンが活性化された状態」と言って、差し支えないと思います。ゾーンに入ることは難しくてもフローに意図的に向かう事は可能だと思います。セロトニンを活性させる術があるからです。個人的にはアスリートのみなさんには是非、このフローの感覚を味わって頂きたいですね。